南丹日本語クラブ

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日本語教育おすすめ本 1

日本語教育、日本語ボランティア、母語・母文化支援など外国人教育の問題、及び母語・第二言語・外国語の習得をテーマにした良書を紹介します。

東京語の歴史

杉本つとむ

中世までの関東方言、新興都市江戸で京大阪と三河駿河と関東周辺の言葉が重層的に融合して形成された江戸語、そして近代以降の標準語に至るまでの東京語の歴史を豊富な資料から辿った本。江戸語成熟の過程に多くが割かれているが、明治中期に作られた人工的な標準語(教科書日本語)と江戸語を継承した東京方言との葛藤も描いている。母語としての東京方言への愛着を隠さない主体的東京語論。

中公新書、昭和63年(1989)1月

日本人の英語

マーク・ピーターセン

日本人の英語の問題点を、ネイティブスピーカーの観点から分析し、自然な英語を使えるようになる方法を具体的に示した本。前置詞・関係代名詞・接続詞など文法の問題が中心になるが、アメリカ人の著者が日本語と格闘をした経験に基づいて、日本人の発想を理解した上で日本人が英語にアプローチする道筋を示している。英語は「時」に、日本語は「相」に関心を払うという指摘など面白い。

岩波新書、昭和63年(1988)4月

文化の言語学

唐須教光

文化と言語の関係を考察した言語人類学の本。構造主義的記号論の基礎的原理とサピア・ウォーフの仮説を発展させたゆるやかな文化相対主義に基づいて、文法と文化、表現と文化などを論じている。日英語の比較では文法的制約のゆるい日本語に対して英語は厳密であること、日欧の民話の比較では目的貫徹的なヨーロッパの民話に対して貫徹意志薄弱な(淡白な)日本の民話という違いを析出している。

勁草書房、昭和63年(1988)3月

日本語 新版(上・下)

金田一春彦

国民的に親しまれた国語学者による一般向け日本語学入門。昭和32年に出たものの新版。平易な語り口でわかりやすく書かれているが、発音・語彙・文法と日本語に関して学問的に知るべきことはほぼ網羅されている。国語の薀蓄にまつわるエッセイを楽しんでいるような心持ちで読み進むうちに、専門的な知識が頭に入る。学生はもちろん、一般読書人にもとりあえずこれを読んでおこうと推薦できる名著。

岩波新書、昭和63年(1988)1、3月

江戸時代の国語 上方語

坂梨隆三

経済的・文化的な中心だった江戸時代前期の上方語を、浄瑠璃・歌舞伎などの比較的口語を反映している資料を中心に考察した本。音韻、文字・表記、文法、敬語という概説風の章立てになっているが、この当時の上方語は国語史上の中央語であるから、方言研究的なものではなく、内容的には国語史概説と変わらない。この時期の上方語と現代の関西方言は概ね近畿地方内の方言差程度の違いしかないことがわかる。

東京堂出版、昭和62年(1987)9月

敬語を使いこなす

野元菊雄

刊行当時、国立国語研究所長であった著者による敬語ガイドブック。敬語は場面・人間関係の把握能力であり、親疎の疎の時に生じ、敬遠を表わすとする敬語観に立脚しつつも、日本語・日本社会にとって敬語は必要であるとの立場で書かれている。昭和27年に文部省が発表した敬語の目安「これからの敬語」を参考に、戦後民主主義的に急進的な部分を修正し、もう少し丁寧度を高めた敬語を基準として示す。

講談社現代新書、昭和62年(1987)9月

日本語の構造〜英語との対比

中島文雄

日本語の言語構造を英語との対比において考察した本。文の統語論的な形式が整備されていて場面や脈略からの独立性が強く、主語を主題とした客観的表現をする命題的・論理的な英語に対して、述語中心で場面や文脈への依存性が高く、意味論・談話文法論・語用論の助けを必要とする直感的・描写的な日本語の構造を明らかにし、日本人の発想法や文化を読み解く。仮名遣いについての妥当な提言も行なっている。

岩波新書、昭和62年(1987)5月

「力」の思想家ソシュール

立川健二

ソシュールを力の思想家として読み解いた本。ソシュールの言語論を丁寧に跡付け、静態的実体論を超えた、動態的関係論による言語の自己産出過程の理論を明らかにしている。著者が20代に書いたもので、丸山圭三郎や柄谷行一の影響を受けつつ、ソシュールの思想から盲目的な力の戯れというポストモダン的なリアルを発見し(日常意識や言語学の言語の観念は抽象である)、言語革命を謳い上げた青春の書。

白馬書房、昭和61年(1986)12月

英語の論理・日本語の論理〜対照言語学的研究

安藤貞雄

英語学者による日英対照言語学。言語類型論・生成文法・国文法・語用論など新旧の学説・論文を総動員して、自らの批判的視点も明確に打ち出しながら、日本語と英語の特質を明らかにしている。主語と主題の問題をはじめとして、刊行当時の類書では最も優れた一冊であり、現在もその価値を失っていない名著。日本文化を単純に集団主義と捉える最終章の日本文化論は、今から見るとステレオタイプに感じられる。

大修館書店、昭和61年(1986)7月

歴史的仮名遣い〜その成立と特徴

築島裕

歴史的仮名遣いがどのような原理に基づいて成立し、どのような事情で発達してきたのかを辿った国語史。最初に仮名遣い説を立てた藤原定家、文献批判による実証的研究の上で復古主義的な正しい仮名遣いを明らかにしようとした契沖、さらに研究を深めて行った国学者たち、明治政府による歴史的仮名遣いの教育政策と普及および反対論など、歴史的仮名遣いの歴史と理論的な問題点を論じている。

中公新書、昭和61年(1986)7月

江戸時代の国語 江戸語〜その形成と階層

小松寿雄

中央語になった江戸時代後期の江戸語を形成と階層という観点から考察した本。古くから中央語として発達してきた上方語に対して、人工都市に成立した江戸語は形成過程の研究が重要であり、また階層の言語差の研究がポイントになる。従来、江戸語の形成には庶民語が大きく参与したとされてきたが、本書では全国共通語としての武家語の重要性を指摘し、武家語に近代の標準語につながる流れを見ている。

東京堂出版、昭和60年(1985)9月

メタファーの記号論

菅野盾樹

メタファーを記号論的に考察した本。構文論・意味論・語用論という通常の言語学と言語学的転回によって成立した分析哲学的思索を加えて、記号論と呼んでいる。メタファーを正しい言語から排除するような見方を批判して、メタファーを言語共同体の中に論理的に繰り入れ、語用論で説明したり表現の理論に終わらせず、意味論を拡張してメタファーの構造を考察している。意味の実体主義的普遍主義がやや窮屈。

勁草書房、昭和60年(1985)4月

思考と行動における言語 原書第四版

S・I・ハヤカワ著/大久保忠利訳

意味論の古典的名著。言語は抽象である、意味は人間の内部にある、文脈は意味を決定する、意味は分類である、分類は断定や差別につながる、言語には客観的な指示と他人への感化を目的とした表現(政治的プロパガンダ、広告、文学)がある等の理論から、言語の政治性の記号論的な分析を行なっている。観念に支配されないように、言語は完全ならざる抽象であることを意識し、定義より実例を見ること等を説く。

岩波書店、昭和60年(1985)2月

ことばと発達

岡本夏木

子供が獲得する言葉を、具体的な関係の中で使用される一次的ことば(いわゆる生活言語)と学校教育で教えられる抽象的な二次的ことば(いわゆる学習言語)に分け、それぞれの言葉の特質と発達の構造を解説した本。二次的ことばの獲得(強制)によって喪失されがちな他者との共同性のことばである一次的ことばの意義と価値を説き、権威主義的な言語教育観を批判している。

岩波新書、昭和60年(1985)1月

日本語の再生〜わたしたちの国語を考える

島田昌彦

昭和58年にラジオ放送された金沢大学の公開講座の内容をまとめた本。著者は国学の語学を研究する国語学者で、文化庁で国語政策を担当した経歴も持つ。テーマ別に16講に分け、国語の美しさ・敬語・方言・翻訳・国語政策・文法などを論じる。市民講座としては相当高度な内容で、特に本居春庭の自他論やボクハウナギダ文論争を取り上げた章は専門的なレベルの記述になっている。

桜楓社、昭和59年(1984)9月

日本語のシンタクスと意味2

寺村秀夫

日本語教育に使える客観的な日本語文法の体系的構築を目指した寺村秀夫の代表的著作の第2巻。第2巻では主に日本語のテンス・アスペクト・ムードについて、助動詞や補助動詞などの文法要素の働きを詳細に分析しつつ、それらの文法要素が複合的・重層的に様々な日本語の表現を成り立たせている様を、先行研究を踏まえ、英語との比較もしながら、網羅的に研究している。

くろしお出版、昭和59年(1984)9月

古文の読みかた

藤井貞和

高校生向けに書かれた古文入門。古文とはどのようなものかを概説する「古文を説く鍵」、古典文法の基礎を学ぶ「古文の基礎知識」、様々な時代・スタイルの例文を読解する「古文を読む」の三章から成る。学校で学ぶ古文を、国文学・国語学の著者が、もう少し詳しく、親しめるように書いた入門書で、高校生だけではなく、学校を卒業して時間の経った社会人が教養として日本の古典を知るのにも適している。

岩波ジュニア新書、昭和59年(1984)9月

東京語〜その成立と展開

田中章夫

江戸語からの発展過程を含めて、近代日本の標準語となった東京語の全容を、国語史的・社会言語学的に跡付けた東京語概説。人工都市への入植者によって形成された植民地語、標準語・公用語、東京人の日常語という三層の性格を持つ東京語を、山の手ことばと下町ことば、口語と文章語、階層によることばの違い、敬語、周囲の関東方言との違い、上方語との比較などから考察している。

明治書院、昭和58年(1983)11月

翻訳語成立事情

柳父章

西欧文明を受け容れた近代日本は、西欧の言葉を大量に翻訳して受け容れたが、歴史的社会的背景の異なる西欧から移植した翻訳語は日本人の伝統的な世界観や日常語とは当然ずれており、それが現実と遊離した観念論や権威主義の土壌ともなり、近代日本の思想的悲喜劇を生む原因にもなった。本書は翻訳語がどのように成立し、意味を形成してきたかを、社会・個人・存在・自然など10語を選び、跡付けている。

岩波新書、昭和57年(1982)4月

日本語のシンタクスと意味1

寺村秀夫

日本語教育における文法理論の基礎になっている寺村文法だが、本書は外国人に教える日本語教育の立場から、文法は日本語そのものに即し、説明は普遍的な言葉でというスタンスで、客観的に理解できる文法体系の構築を目指した寺村秀夫の代表的著作。第1巻では、単文の構造と構成要素、客観叙述における格助詞・動詞・形容詞の働き、日本語のヴォイスの体系を論じている。

くろしお出版、昭和57年(1982)11月

仮名遣と上代語

大野晋

日本語史の中で大きな問題となる仮名遣の問題を、上代語の研究から解明しようとした本。アクセントを表記に反映させていた定家仮名遣の考証、上代特殊仮名遣の考察、漢語の字音の考察、上代の方言などを通して、学問的に遡りうるそれぞれの時代における音韻体系と表記の関係についての真実に迫っている。日本語の表記はどうあるべきかという問題を考える際の基礎的な知識を提供している。

岩波書店、昭和57年(1982)2月

シンボルの哲学

S・K・ランガー著/矢野萬里・池上保太・貴志謙二・近藤洋逸訳

人間をシンボル化する存在として考察した哲学書。祭式・神話・物語・宗教・芸術など文化領域をシンボル化という観点から捉え、それらを人間的価値の世界とする。一方、道具としての科学そのものを否定しているわけではないが、人間的価値の世界とすべてを事実に還元する科学の人間的価値を廃棄した世界との対立として、現代を把握している。1957年の本だが、現代の問題をほぼ語り尽くしている。

岩波書店、昭和56年(1981)12月

ことばと国家

田中克彦

国家と母語・方言・少数者の言語との関係、政治と言語の関係を論じた本。近代国家形成の過程において国家語と成り遂せた言語が少数言語を差別するメカニズムの考察から、言語の歴史は政治史であることを明らかにする。言語的差別を受ける側に立ちながら、エリートによる言語の権威主義・規範主義を批判し、母語が共時態としてそこにある民衆の生きた言語生活を原像とする民主的言語論を展開している。

岩波新書、昭和56年(1981)11月

「する」と「なる」の言語学〜言語と文化へのタイポロジーへの試論

池上嘉彦

変化や状態の表現を、格関係の意味作用という場所理論的な観点から考察した日英対照研究。主題部で動作主を際立たせる動作主指向的な「する」言語の英語と、主題を場と捉え、場所において主体なき行為が生じているかのように表現する出来事全体把握的な「なる」言語の日本語という性格を明らかにし、日本語は人間言語において原型的であり、英語は動作主指向的に極端な発達を示した特殊な言語であるとする。

大修館書店、昭和56年(1981)7月

パースの記号学

米盛裕二

アメリカの哲学者パースの記号学を解説した本。パースの思想は批判的常識主義に立脚しているが、実は習慣の概念も含めて観念論的とも言える汎記号論的立場であり、一般的なプラグマティズムの経験主義、行動主義、時に不合理主義にもなり得る思想とは一線を画した科学的合理主義であることがわかる。パースの記号学は語用論は含まないとのことで、認知科学的な要素は全くないのかという点にも興味がある。

勁草書房、昭和56年(1981)5月

朝鮮語のすすめ〜日本語からの視点

渡辺吉鎔、鈴木孝夫

鈴木孝夫と韓国出身の渡辺吉鎔という二人の言語学者が、日本語を考える時、英語などの欧米語ではなく、朝鮮語と比較するという視点が欠落していることを世に問うた本。実質的に渡辺の著書と言うべきもので、コミュニケーション論は普通の韓国人の本音で、言語論は独立後の韓国ナショナリズムに基づく公式論で書かれているところが見受けられるが、日韓の言語と文化の共通性と異質性が理解できる。

講談社現代新書、昭和56年(1981)4月

日本の言語学 第1巻 言語の本質と機能

川本茂雄他編

日本における言語学の名論文を集めた選集の第1巻。第1巻は総説として、コミュニケーション、言語本質論、言語研究法、言語の場・敬語、言語と社会、文章・文体、文字・表記に分けて、日本人の手になる独創的で、歴史的に重要な論文が収められている。時枝誠記・服部四郎・三尾砂・松下大三郎・山田孝雄・橋本進吉など、その後の研究に影響を与え、基礎になった学問的業績の数々を読むことができる。

大修館書店、昭和55年(1980)8月

日本の方言地図

徳川宗賢編

国立国語研究所が昭和32〜40年に調査した方言分布調査をまとめた『日本言語地図』全6巻300面の地図から50面を選び、調査に関わった者を含む5人の研究者が一般向けに書いた本。方言学・言語学・国語史などに関する5編の小論と、名詞を中心に形容詞・動詞・オノマトペ・鼻濁音など50項目の方言地図の解説を付す。調査当時からこの半世紀の間にも標準語化が進んでいる傾向が見て取れる。

中公新書、昭和54年(1979)3月

言語学の誕生〜比較言語学小史

風間喜代三

サンスクリットとギリシア・ラテン語の類似の発見から印欧語比較文法が興った18世紀末から20世紀前半にかけての比較言語学の歴史を辿った本。音論・形態論を中心とした歴史的研究の展開における言語学の学説・学派や巨匠たちの学問形成、そして通時的研究から共時的研究への大きな転換となったソシュールの登場までの流れがコンパクトにまとめられている。理論的なレベルは相当高い。

岩波新書、昭和53年(1978)12月

言語と行為

J・L・オースティン著/坂本百大訳

日常言語を対象に、発言を全体的な言語状況において捉えるという視点を提示した古典的著作。まず発言を真偽を基準とする状態や事実の記述的・事実確認的発言と、その発言自体が行為でもある、適切不適切を基準とする行為遂行的発言に分け、さらに言語行為を発語行為、発語内行為、発語媒介行為に分け、適切不適切を決める条件が慣習にあり、記述的・事実確認的発言も発語内行為としての性格を持つとする。

大修館書店、昭和53年(1978)7月

日本語の文法を考える

大野晋

現代日本語における題目を表わす係助詞「は」と主格を表わす格助詞「が」の文法的な違いを手がかりに、「が」が現在の主格を表わす用法に発展した歴史、形容詞における状態を表わすク活用と情意を表わすシク活用の違いと歴史、動詞の活用の歴史などを考察しながら、日本語の流れを辿る。三上章の主語廃止論や「は」の助詞代行論を認めず、日本語の文の基本構造を「既知‐未知」論一本槍で見ようとしている。

岩波新書、昭和53年(1978)7月

日本語の正書法

小泉保

現代日本語の正書法ということをテーマにしながら日本語文法を総説した本。理論篇と実際篇に分け、歴史的仮名づかひと現代仮名づかいの対立軸を論点に、主に生成音韻論の立場から考察している。理論篇は音韻論の基本と応用を学べるテキストにもなっている。問題が解決されたわけではないにも関わらず、最後に表音文字による新しい文学的文体(結局は表記ということ)の大革命の日が近いと絶叫している。

大修館書店、昭和53年(1978)5月

国語の歴史

築島裕

昭和50年の西ドイツ・ルール大学での講義をもとに、帰国後に大幅に書き直し・加筆した14章から成る国語史。古代日本語の音韻や表記、仮名遣の問題、活用の変遷、日本文法史、国語史の資料、ヨーロッパの日本語研究など、著者自身も関わってきた国語史上の重要なトピックがコンパクトに解説されている。研究者になろうとする者向けの内容と言えるが、無駄なく明確に書かれていて読みやすい。

東京大学出版会、昭和52年(1977)11月

増補校訂 標準日本口語法

松下大三郎

日本語教育の草分けで、日本口語文法の先駆者の名著(昭和5年、中文館書店刊)を、国語学者の徳田政信が校訂し解説を付して復刊したもの。本書では辞に重点が置かれ、題目の提示助辞など動助辞(助動詞)・静助辞(助詞)が詳説されている。独自の用語が使われているが、内容的には理解しやすく、日本語話者の意識にフィットする論で、松下文法が現代日本語学のルーツの一つであることが感得される。

勉誠社、昭和52年(1977)4月

日本語音声概説

川上蓁

現代日本語の音声について基本的な事柄を概説した本。東京地方の音声に基づく共通語を扱っており、たとえば関西地方の音声とは異なるところがある。実用的な理論構築を目指しており、通説に対しても日本語の音声の実態に即して意見を述べている。日本語の音声について必要なことは一通り書かれており、120ページ足らずの小冊子で記述も平易であるため、日本語音声学の入門書として使いやすい。

桜楓社、昭和52年(1977)1月

日本語はどういう言語か

三浦つとむ

言語を主体による対象‐認識‐表現の過程と捉える言語認識論に基づき、時枝文法に立脚しながら、言語表現の哲学的基礎付けと日本語の語論・文論・文章論を展開している。言語道具説を批判しつつ、あくまでも現実との関係(反映論)を手放さずに言語表現や想像力の構造を説く。時枝文法と同じく助詞の扱いに物足りなさがあるが、常識の精神が行き渡った読み応えのある本。

講談社学術文庫、昭和51年(1976)5月

ことばの藝術〜言語はいかにして文学となるか

杉山康彦

文学とは何かをそれが言語の藝術であるという観点から考察した理論書。時枝誠記の言語過程説やソシュールの構造言語論を手がかりに言語はそれ自身創造行為であるという文学の原点を明らかにし、リズムの意義やレトリックが多義性を回復し新しい現実を創り出す機能を考察し、文章表現における視点の役割、描写の構造を考察した上で、表現史としてのダイナミックな文学史のあり方を提起している。

大修館書店、昭和51年(1976)3月

韓国語の歴史

李基文著/藤本幸夫訳

韓国語の国語史。韓国語の系統、現代韓国語に連なる新羅語と夫余系諸語・韓系諸語・高句麗語・百済語の関係、漢字の受容から吏読・口訣・郷札・訓民正音などの文字・表記の歴史、古代語・前記中世語・後期中世語・近代語・現代語の史的変遷を辿っている。系統論をはじめとして、あくまで学問的に考証されていて、最も信頼できる韓国語史と言える。監修の村山七郎の解説文「韓国語とアルタイ言語学」を付す。

大修館書店、昭和50年(1975)6月

閉された言語・日本語の世界

鈴木孝夫

自己充足的な島国という条件にあって異民族との間で自我を鍛えて来なかった日本人の外国語崇拝と自国語軽視の現象を考察した日本語・日本文化論。中途半端な西欧言語の理解と西洋言語学の盲目的適用による誤解、そして日本語に対する無知に基づく国語改革論を批判し、漢字仮名交じり文と漢字の音訓両読という日本語の在り方が日本語の本質に合致した必然的なものであることを説く。

新潮社、昭和50年(1975)3月

日本語法史 江戸時代編

岩井良雄

江戸時代の主に話し言葉を、動詞・形容詞・形容動詞などの用言、助動詞、助詞の三章に分けて、文法と変遷を跡付けた本。上方語と江戸語を含めて江戸時代の語法を多数の例文とともに配列した一種の近世日本語表現辞書として使える。近代語は室町時代に発祥し、江戸時代に強固になったとされるが、本書を読むとたしかに江戸時代の日常語は現代語と近いものになっていることがわかる。

笠間書院、昭和49年(1974)8月

敬語講座(8)世界の敬語

林四郎、南不二男編

世界各国の敬語を紹介した本。朝鮮語・チベット語・ジャバ語・ベトナム語・中国語・英語・フランス語・ドイツ語・スラブ語の敬語もしくは敬語的表現をそれぞれの外国語の専門家が論じている。日本語・朝鮮語・チベット語・ジャバ語など、アジアに敬語の発達した言語が多いことがわかる。冒頭にネウストプニーによる世界の敬語の概観、巻末に「待遇表現と民族文化」と題した座談会を付す。

明治書院、昭和49年(1974)2月

日本文法研究

久野ワ

生成文法派による日本語文法論。助詞の考察が中心で、特に「は」と「が」が詳しく分析されている。一般意味論的な区別をする働きとして、主題の「は」、対照の「は」、総記の「が」、中立叙述の「が」に分け、さらに文脈から予測できない「が」が新情報を示し、「は」が旧情報を示すことなどを明らかにしている。また、こうした意味論的区別が英語においていかになされているかという対照研究も面白い。

大修館書店、昭和48年(1973)6月

ことばと文化

鈴木孝夫

言語は恣意的なものであり、言語が異なると文化も異なるという視点から言語と文化の関係を論じる言語学入門。西洋語を対象に作られた言語学の概念や用語をそのまま日本語に当てはめて研究することを批判し、日本語と日本文化に即した言語学を提唱する。その具体的な例として、親族名称の考察から、私的・二項的・対象依存的・同調的かつ上下関係を重視する日本語と日本文化の特質を明らかにする。

岩波新書、昭和48年(1973)5月

続・現代語法序説〜主語廃止論

三上章

昭和28年に刀江書院から出された『現代語法序説』が難解であるとの評を受けていたのを、五年後に再版の話が持ち上がったのを機に、一年かけてわかりやすく、さらに発展させつつ書き改めたもので、新著と言うべき内容になっている。日本語の構文の核心部分である述語にまつわるムード(助詞と述語の係り方を含む)に焦点を絞って論じられている。三上の文法概説書としてはたしかに相当わかりやすい。

くろしお出版、昭和47年(1972)10月

現代語法新説

三上章

昭和30年に刀江書院から出た同名著書を、昭和47年にくろしお出版から復刊したもので、序文を寄せている金田一春彦によれば、文法学界に衝撃を与えた『現代語法序説』の内容をさらに体系化する試みとして書かれたものという。文法用語・品詞論・敬語論・構文論と、三上文法を世に理解させる意図が伺われる構成になっており、随所に三上ならではの考察と問題提起がなされている。

くろしお出版、昭和47年(1972)8月

現代語法序説〜シンタクスの試み

三上章

昭和28年に刀江書院から出された同名の処女出版を改訂したもの。品詞の分類から説き起こし、三上の中心テーマである主語をめぐる問題、助詞、活用、日本語における引用文など、日本語の構文の特性が体系的に考察されている。改訂版に当たって昭和17年の処女文法論「語法研究への一提試」が付録として収められているが、主語廃止論など三上の問題提起が当時から一貫していることがわかる。

くろしお出版、昭和47年(1972)4月

国語構文論

渡辺実

山田・時枝文法を継承しつつ、それらの構文論に職能ではなく形態・意義からの説明が混入していた不備を乗り越え、新たな体系を構築する。文を完結させる職能「陳述」から「統叙」を分離し、より大規模な叙述を目指す「再展叙」の職能を立てることで、形態・意義に頼ることなく、文の成立原理を構文的職能から統一的に説明することに成功している。また、構文的職能の観点から抜本的な品詞の再分類を行なう。

塙書房、昭和46年(1971)9月

本居宣長全集第5巻

大野晋編集校訂

「詞の玉緒」「字音仮字用格」「玉あられ」など本居宣長の助詞・活用・漢字音などに関する語学研究の主要著作を収める。「詞の玉緒」は、和歌を材料に、助詞を単独で見るのではなく、結びとの関係として把握し、分類したもので、日本語文法の本質に関わる係り結びの研究への道を開いた歴史的著作。助詞と結びの分類を図表化した「てにをは紐鏡」も収められている。解題は担当編者の大野晋。

筑摩書房、昭和45年(1970)9月

漢字〜生い立ちとその背景

白川静

漢字はその成立当初においては神とともにあり、神と交通するするものであったとする漢字学の碩学が、漢字の背景にある古代中国の神話的・呪術的な世界を解読する。神話学・民俗学・文学・歴史学などの関連諸学を総合した中国古代史にもなっているとともに、東アジアの思想史としても読める。ふだん何気なく使っている漢字の背景に、驚くべき世界の広がりがあることがわかる名著。

岩波新書、昭和45年(1970)4月

日本語方言文法の世界

藤原与一

昭和を代表する方言学者による、日本語方言を、音韻・音声的ではなく、文法の面から考察した本。山田・松下・橋本・時枝などの文法論を踏まえ、主に文論を単位に文法を論じているが、単語・連文・話部にも論は及ぶ。特に助動詞・終助詞・アスペクト・イントネーションなど、話者の主体的な訴え、陳述に関わる文末表現に焦点を当てて、様々な方言の文法を比較している。

塙書房、昭和44年(1969)7月

言語学入門

L・イエルムスレウ著/下宮忠雄、家村睦夫訳

デンマークの言語学者で、コペンハーゲン学派を率いた20世紀を代表する言語学者による言語学入門。19世紀的な言語の系譜的研究としての比較言語学を踏まえつつ、ソシュールの影響を受けた言語の類型的研究(統語論、形態論、音韻論が中心で、意味論には距離を置いている)によって、言語構造や言語変化の問題を比較的平易に概説している。翻訳はかなり読みにくい。

紀伊國屋書店、昭和43年(1968)12月

かな〜その成立と変遷

小松茂美

かな文字の成立と変遷を豊富な資料を駆使して辿った本。漢字の渡来から万葉仮名・平かな・片かなの発生、和歌や物語および私的な文書などに使われたかな使用の展開、平安時代に確立した書としてのかなの様相などを、公式文書から落書きまでの資料を博捜し、かなが定着するまでの歴史を記述する。書道史の研究が充実していて、国語学史と日本文化史にわたる内容になっている。

岩波新書、昭和43年(1968)5月

語構成の研究

阪倉篤義

古代日本語の語の構成の原理を研究した国語学の本。近世国学と近代国語学の研究史を踏まえながら、語彙論と文法論にまたがる場所で、造語の原理をその歴史性から研究する語形成論と、共時的に語の構成を記述的に研究する語構造論の二面からアプローチしている。漢語の造語力ということがよく言われるが、和語の造語力がそれにも増して生命力を持っていることを指摘している。

角川書店、昭和41年(1966)3月

国語学新講

東條操

方言学の研究で知られる国語学者による国語学の体系的入門書。昭和12年に刀江書院より初版、昭和26年に筑摩書房より増補改訂版、昭和35年に筑摩叢書として新改修版が出たもの。国語・国語学の定義、音韻・文字、語彙、文法、国語史・系統論・方言学に分け、基本的なことを平易に論じている。現在でも十分に通用する内容で、国学や近代国語学の跡付けは昨今の教科書よりも詳しく、読み応えがある。

筑摩書房、昭和40年(1965)4月

日本語の構文

三上章

日本語の構文は、述語中心であり、題述という枠を持っているが、近代の国文法・学校文法の主流は、英語的な主述という骨子を日本語に無理に当てはめようとして、日本語をきちんと説明できない事態に陥っていた。本書は、日本語に即した文法を探究し続けた三上章が、動詞のカテゴリー、センテンスの単位、区切り方などについて、日本語の構文の仕組みを研究した学術的な本。

くろしお出版、昭和38年(1963)12月

文法教育の革新

三上章

三上章の教育問題に関する文章を集めた論文集。西洋文法崇拝によって日本語にはない主語を導入したことによって百年の混乱を来たしている日本の文法教育の状況を検証し、明治以降の主語をめぐる議論を吟味しながら、あるべき文法教育を提言している。元々明晰で平易な文章を書く人だが、本書は文法研究の論文ではなく教育論という形で論じられているので、さらに取っ付きやすい三上文法入門になっている。

くろしお出版、昭和38年(1963)6月

日本語の論理〜ハとガ

三上章

三上章の畢生のテーマであった「は」と「が」の考察を中心に、西洋文法とは異なる日本語文法固有の論理を探究した論文集。論理学の考え方と照らしながら論じた「日本語は論理的でないか」、西洋文法の影響を受けて導入され、日本語学の混乱の主因となっている主語概念の廃止を唱える「主語廃止のプログラム」の他、「は」の対比の用法や「が」が重なる二重主格についての文章などを収める。

くろしお出版、昭和38年(1963)3月

バラとさくら〜日英比較語学入門

楳垣実

日英対照言語学の古典的著作。概説・音韻・文法・語彙の各篇に分け、風土や国民性と言語の関係、母語と外国語の学習の違い、意義領域のズレ、文法に現れた発想法の違い、音節構造、数の表現、時制とアスペクトとムードなどの比較を通して日本語と英語の特質を客観的に考察し、合理的な英語教育の必要を説いている。言語学的には大学レベルだが、例文になっている英語は基本的に中学レベルなので読みやすい。

大修館書店、昭和36年(1961)5月

富士谷成章全集 上

竹岡正夫編著

全集上巻は「かざし抄」「あゆひ抄」など語学研究の著作を収める。副詞などの挿頭(かざし)、動詞・形容詞などの装(よそひ)、助詞・助動詞などの脚結(あゆひ)、名詞の名(な)という近代的な品詞分類を行なっている。普遍的な言霊(言語体系・言語作用)が存在し、個々の言語主体が名・挿頭・装・脚結の四範疇を通した言語活動によって具体的な言葉を実現するという言語過程観は非常に興味深い。

風間書房、昭和36年(1961)3月

象は鼻が長い

三上章

西洋文法かぶれから主語とされていた「は」と「が」に関する思考の混乱を正し、「象は鼻が長い」の二重主語問題を擬似問題と喝破した代表作。係助詞「は」の主な役割は提題であり、格助詞「がのにを」を代行するが、主語崇拝ゆえに、「は」が主格「が」を代行する点のみを取ってそれらを主語としたことに混乱の原因があったことを明快に示す。さらに主格「が」も主語ではないとし、主語廃止論を唱える。

くろしお出版、昭和35年(1960)10月

近代日本語の成立〜コトバと生活

杉本つとむ

近代日本語の成立を、民衆による民族語の形成という観点から考察した日本語史。古代的秩序の崩壊を告げる二条河原落書から説き起こし、言文一致の成立によって近代日本語が成立するまでを、豊富な資料を駆使して跡付けている。東西の対立より、京阪語・江戸語・東京語という太い共通語の流れを見るところに特徴がある。著者の処女出版に当たり、清新な気風があふれている。

桜楓社、昭和35年(1960)1月

日本の方言

柴田武

方言に関する基本的な知識と問題点を平易に説いた方言学入門。方言は体系を持っている言語であることを前提に、音韻だけではなく、方言独自の文法も存することを論じている。方言コンプレックスや共通語・標準語の問題にかなりの紙数を割いており、梅棹忠夫の第二標準語論を分離主義的なものとして批判しつつ、アクセントにこだわらない共通語の必要性を説き、将来のあるべき標準語への展望を述べている。

岩波新書、昭和33年(1958)4月

アイヌ語入門〜とくに地名研究者のために

知里真志保

アイヌ出身の言語学者によるアイヌ語入門。前半は地名研究に当てられており、後半が文法的なアイヌ語入門として書かれている。その後半も音韻・アクセントの特徴とごく初歩的な文法事項の解説のみで、アイヌ語を体系的に学ぶテキストではなく、アイヌ語・アイヌ文化を知らない人にアイヌ語に親しんでもらうための本と言うべき内容。ジョン・バチラーや永田方正など先行研究者の説を強く批判している。

北海道出版企画センター、昭和31年(1956)6月

助詞の歴史的研究

石垣謙二

昭和22年、34歳で亡くなった国語学者の遺稿集。著者は山田孝雄・橋本進吉に影響を受け、助詞の歴史的研究をライフワークとしていた。助詞「が」が格助詞から接続助詞にどう変化したか、助詞「へ」「から」の研究など、6編の論文が収められている。多数の例文を通時的に検討して、助詞の用法や意味の発展、変遷を跡付けるという方法が取られている。同じ橋本進吉門下の大野晋が解説を書いている。

岩波書店、昭和30年(1955)11月

日本文法 口語篇

時枝誠記

言語は主体による表現過程とする言語過程説に基づき、日本語に即した文法を構築した時枝文法の現代日本語文法論。日本語を名詞・動詞・形容詞など客体的表現の「詞」と助詞・助動詞など主体的表現の「辞」に分け、辞が詞を包み込んで陳述がなされることで思想の統一が完成するという、国学の文法論を汲む理論によって、現代日本語の語論・文論・文章論を展開している。言語を主体の表現と捉える視点は重要。

岩波書店、昭和25年(1950)9月

東京語の性格

中村通夫

東京語を国語学・標準語論・国語教育の観点から総合的に考察した現代語の史的研究のフロンティア的な本。著者は文部省教科書局国語課ローマ字調査係長の肩書きを持つ。江戸語は人工都市江戸の言語として東国における孤島的都市語として成立したものだが、東京語も江戸語と連続的なものではなく、平均語化・混合語化した文化語・文字標準語として作られ、教育によって普及したものであることを跡付ける。

川田書房、昭和23年(1948)11月

国語法研究

橋本進吉

著作集第2冊。「国語法研究」など文法論四篇を所収し、学校文法の基礎になっている橋本文法の概要が理解できる。意味を重視した従来の文法論に対して、音声面・形態面の外形を重視した形式主義に特徴がある。車掌用語「切符の切らない方」を文法論的に解釈した論文が収められている。具体的な卑近な言語現象を俎上に載せたもので、橋本の方法論や姿勢がわかって面白い。解説は岩淵悦太郎。

岩波書店、昭和23年(1948)1月

国語学概論

橋本進吉

著作集第1冊。橋本進吉の国語学のエッセンスを教科書的にまとめた「国語学概論」「国語学研究法」を収める。篤実な学風が伺える常識的な学説が平易な文章で書かれていて、現在もほぼそのまま使える内容。二篇は内容的に重複する部分が多い。巻末に国語学の知識に裏打ちされた国語教育の必要を説く「国語学と国語教育」と国語に対するあるべき態度を説く「国語と伝統」の短文二篇を収める。解説は時枝誠記。

岩波書店、昭和21年(1946)11月

国語学原論〜言語過程説の成立とその展開

時枝誠記

言語は主体による表現過程とする言語過程説を唱えた時枝誠記の原理論的著作。言語過程説の基礎理論をなす総論と、音声論・文字論・文法論・意味論・敬語論・国語美論の各論から成り、時枝文法の全貌を知ることができる。ソシュールを言語を客体的・原子論的に捉える構成主義的言語観の代表者として批判しつつ、言語を主体と相関的な表現とする言語過程説を展開している。

岩波書店、昭和16年(1941)12月

国語学史

時枝誠記

先覚者たちが日本語をいかに捉えてきたかを辿った国語研究の歴史。元禄期以前の揺籃期の研究、江戸の国学者たちの研究、維新以後の西洋文典の影響を受けた研究、山田孝雄・橋本進吉などの国語学の研究における「てにをは」・活用・音韻・仮名遣・品詞分類などの国語研究の内実に迫る。とりわけ、日本語の事実に即して近代的な言語学的研究レベルに接近していた国学の研究を重視している。

岩波書店、昭和15年(1940)12月

日本文法論

山田孝雄

明治35年に上巻が出、同41年に一冊の本として完結した1500ページの大著。圧倒的な学識と思考力によって西洋文法の翻訳ではない日本語に即した文法を構築しており、弱冠27歳の処女作として国語学史上の巨人の天才ぶりを伝える。語論・句論に分け、それぞれの性質と運用を説くという構成。句論は構文論に相当し、用語と解釈に独自なものがあってかなり難しい。文語文だが、明晰で読みやすい。

宝文館、明治41年(1908)9月

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