南丹日本語クラブ

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日本語教育おすすめ本 4

日本語教育、日本語ボランティア、母語・母文化支援など外国人教育の問題、及び母語・第二言語・外国語の習得をテーマにした良書を紹介します。

主語を抹殺した男 評伝三上章

金谷武洋

三上章没後の門人として、日本語には主語はないことを説いてやまない著者による三上の評伝。英文法の引き写しではない、日本語に即した文法を研究し、「街の語学者」と呼ばれた天才の生涯を活写している。日本語教師になり、日本語をきちんと説明できていない学校文法に疑問を抱いていた若き日に三上の本を読んで目を開かれた体験から説き起こす、著者自身のストーリーにもなっている。

講談社、平成16年(2004)12月

自治体の言語サービス

河原俊昭編著

日本は単一言語社会ではなくすでに多言語社会であることを前提に、外国人が日本社会や日本語へ適応すべきという従来型の発想から、異なる文化を持った人々の共生という発想への転換が現実的に必要になっているという認識に基づいて、社会の構成員としての在日外国人に対応した外国語による情報提供や相談活動、通訳・翻訳、日本語支援、母語支援などの自治体の言語サービスの現状と課題を考察している。

春風社、平成16年(2004)12月

ネイティヴはそう言いません!〜日本人英語からの脱出術

多田裕吾・リサ・ヴォート

日本人英語から脱出するためのネイティヴの英語表現を学べる本。日本人が使いがちな直訳英語の例文を掲げ、そのどこが間違っているのか、また文法的に正しいとしても不自然だったり堅苦しかったりする場合も含めて問題点を解説し、ネイティヴスピーカーが使うシンプルで自然な英語表現に直した上で、ネイティヴの表現を使ったダイアローグを付したテキスト。英語の発想や表現上のポイントがよくわかる。

研究社、平成16年(2004)11月

三上文法から寺村文法へ〜日本語記述文法の世界

益岡隆志

三上章とその弟子の寺村秀夫が開拓し、発展した日本語文法研究を日本語記述文法と名付ける著者が、三上・寺村の業績を中心に、生成文法や国文法にも目配りしながら、日本語記述文法研究の流れを辿った日本語研究史。著者は寺村の弟子に当たるが、主語廃止論をはじめとする問題提起者としての三上、実用的な日本語教育文法体系を構築した寺村の学問の概要を、かなり自身の関心に引き付けて解説している。

くろしお出版、平成16年(2004)11月

〈意〉の文化と〈情〉の文化

王敏編著

中国人日本研究者による論文集。歴史・政治・文学・民俗・宗教・日本語・サブカルチャーなど、テーマは多岐にわたるが、表題作にもなっている中国・日本ならびに西洋の比較文明論、崔世廣「〈意〉の文化と〈情〉の文化」など、興味深い論文が多数収められている。中国人の日本観、多元化・自由化してきている現代中国における日本研究の動向、そのレベルを知ることができる一冊。

中央公論新社、平成16年(2004)10月

外国語学習に成功する人、しない人〜第二言語習得論への招待

白井恭弘

1998年の第二言語習得研究会全国大会の基調講演の内容を、一般読者向けに書き換え、加筆したもの。第二言語習得について科学的にアプローチした研究の最前線を紹介し、日本人が英語が下手な理由、外国語学習における年齢の違いや人種的な違いや男女の違い、どうすれば外国語学習に成功するかなどをわかりやすく解説する。付録の「知っておきたい外国語習得のコツ」は実用的で役に立つ。

岩波書店、平成16年(2004)10月

英文法の疑問〜恥ずかしくてずっと聞けなかったこと

大津由紀雄

英文法を中学英語レベルの基礎から解説した本。句と節、文型、不定詞と分詞、冠詞、仮定法、助動詞、時制、態、関係代名詞、語順などが、分析的に、文法項目を部品に見立てた取扱説明書として書かれている。文法と聞くだけで生理的嫌悪感を持つ人のために、わかりやすく、興味を持って読み進められるように工夫されている。著者には日本語文法と対照して考える視点があるので、日本語学を学ぶ人にも有益。

生活人新書、平成16年(2004)9月

英語の疑問 こう考えてみよう

大津幸一

中学英語終了程度までの段階で抱く疑問について、語法・単語、文法、勉強法に分けて、33題のクエスチョン・アンサー形式で解説した本。語法・単語はネイティブの感覚で捉えるというアプローチ、文法は英語の論理的な構造を説く。勉強法は外国語勉強法の適切な方法を教えてくれているので、ここだけでも読んでおくといい。用語も説明も平易で、基本的な英語の基礎をもう一度おさらいするのに適した一冊。

岩波ジュニア新書、平成16年(2004)8月

文化言語学序説〜世界観と環境

室山敏昭

言語学に自己限定していた従来の方言学を超えて、漁業・農業などを営む共同体に暮らしている生活者の日常経験に基づく生活史的言語環境の語彙論を基礎にした文化言語学を開拓する試み。意味論や語用論・談話分析等より広く、生活語彙の分析によって民俗社会の世界観にアプローチすることで言語学と民俗学・人類学を統合し、日本社会の独自性と多様性を明らかにしようとしている。

和泉書院、平成16年(2004)8月

韓国語概説

李翊燮他著/前田真彦訳

アメリカ人向けに書かれた韓国語概説の日本語訳。総論・文字・音韻・単語と品詞・文構造・敬語法・歴史・方言という構成で、韓国語の全体像が理解できる。韓国語は日本語と基本構造が似ているが、文法体系と用語も似ていて、二重主語文や格助詞「が」と係助詞「は」の違いに相当する問題があるのも面白い。敬語が日本語以上に発達しており、文末表現の豊かさも含めた韓国語の特質をなしていることがわかる。

大修館書店、平成16年(2004)7月

日本語語用論のしくみ

加藤重広

「日本語のしくみを探る」第6巻。語用論とは、発話の意味が言語の形式的意味のみならず、文脈(言語的文脈と状況的文脈)・記憶・常識・情報のなわばりなどに大きく依拠しており、それらをどのように読み取ったり、配慮表現として使ったりしているかなど、発話意図の理解と解釈を研究する学問。本書は語用論の理論的な解説と日本語への応用から成る入門書で、語用論の基本知識が中身濃く詰め込まれている。

研究社、平成16年(2004)7月

もしも…あなたが外国人に「日本語を教える」としたら

荒川洋平

日本語を教えることになった初心者のモデルケースで疑似体験できるようにしながら、外国人に日本語を教えるとはどういうことかを解説した本。教える側が自己中心的にならず、学ぶ側の視点を持つことの重要性を説いている。
初心者向けマニュアルとして書かれているが、後半の日本語教授法の内容はかなり高度。職業としての日本語教師を目指す人へのアドバイスもある。

スリーエーネットワーク、平成16年(2004)5月

箸とチョッカラク

任栄哲・井出里咲子

韓国と日本の社会言語学者が、日韓の文化の似ているところと違うところを対照社会言語学・言語人類学的に考察したコラム集。井出の韓国体験を中心に、日本人と韓国人それぞれの価値観に基づく発想・思考・行動や人間関係の特徴を、言語的な分析だけではなく、歴史や非言語的なコミュニケーションまでを含んだ文化論として面白く描き出し、両文化の相互理解に寄与する内容となっている。

大修館書店、平成16年(2004)5月

やさしい初歩のインドネシア語 新装改訂版

舟田京子

初心者向けに書かれたインドネシア語テキスト。インドネシア語の発音、単語、文法と会話を、平易に解説している。英語と同じ語順で、文法的に英語よりも易しいため、語彙さえ覚えればすぐに身に付けられる言語と言える。ローマ字表記にカタカナのルビが振られており、独学するのに困難はないが、文法の構造的説明が少ないため、少し突っ込んだ理解を求める場合には物足りない部分もある。

南雲堂、平成16年(2004)4月

異文化理解の語用論〜理論と実践

ヘレン・スペンサー=オーティー編著/田中典子他訳

対人関係を維持・管理する言語の使用を課題とするラポールマネジメントが文化によって異なるという観点から、文化におけるラポールマネジメントの語用論的研究を解説した論文集。日本人読者向けに全16章の原著から6章を選んで訳されている。語用論的な側面に焦点を当てて異文化衝突を解読したもので、日本語教育にも役に立つ。フィールドワークのデータ収集の方法論も収める。

研究社、平成16年(2004)4月

日本語の論理〜言葉に現れる思想

山口明穂

日本語を日本語に即した考え方で捉えるというテーマで、日本語独自の論理を現代語と古典語から探った論文集。「が・は」「ある・いる」「つ・ぬ」などの考察を通して、西洋の論理とは異なる日本語の論理を明らかにするとともに、西洋の影響による日本語の思考形態の変化も観察している。格助詞「が」を、主格・対象格の助詞ではなく、もっと包括的に発生格・由来格とする提起は興味深い。

大修館書店、平成16年(2004)2月

関西弁講義

山下好孝

使用者2000万人を数える世界有数の言語である関西弁を一つの外国語と捉え、その音韻・文法・語彙・歴史を解説した本。著者は京都市伏見区出身の日本語教師で、北海道大学で関西弁の講義を実際に行なった経歴を持つ。当然ながら標準語と関西弁の対照研究になっていて、訛りのレベルではない言語学的な違いがわかる。京都・大阪・神戸などの関西弁諸方言の研究にもなっている。

講談社、平成16年(2004)2月

英語を子どもに教えるな

市川力

在米日本人子女・帰国子女の現状の観察を通して、国際化する時代の中での外国語教育の問題点を分析した本。バイリンガル幻想を検証し、中途半端な形での外国語教育が外国語の習得にマイナスになり、母語喪失の危機にもつながる危険があることを説いている。
タイトルとは裏腹に、内容は適切な英語教育の必要性を説いたもの。

中公新書ラクレ、平成16年(2004)2月

横書き登場〜日本語表記の近代

屋名池誠

日本語の書字方向の歴史を辿った日本語史。書字方向は合理的な根拠のない社会的な決まり事であり、優劣はないとした上で、日本語の縦書きにも必然性はないとする。日本語は縦書きという枠に囚われていたが、横書きの登場によって近代化し、使い勝手の良いシステムに発展して横書き基本の縦書き併用という形で最終的に安定すると展望し、書字方向は個人を超えた社会的な制度なのでこの過程は必然と述べる。

岩波新書、平成15年(2003)11月

現代日本語文法(4)モダリティ

日本語記述文法研究会編

文法表現辞書に当たる参照文法のシリーズで、第4巻ではモダリティを取り上げる。文は意味的に見れば命題とモダリティから成り、モダリティは「だろう」「しよう」「よね」など、文の内容に対する話し手の認識や判断、発話状況や他の文との関係、聞き手に対する伝え方などの表現を担う。モダリティの表現形式を表現類型・評価・認識・説明・伝達に分類し、それぞれの意味と用法を記述的に集成している。

くろしお出版、平成15年(2003)11月

外国語を身につけるための日本語レッスン

三森ゆりか

母語能力が低ければ外国語を学んでもたいした思考や表現はできないことから、外国語を身につけるためにはまず国語教育で外国語的に改造した日本語を用いて外国人の発想や討論方法を学ぶことが必要であると説く。著者の言う外国語とは現代世界の支配的言語である欧米語であり、日本語も結局欧米語を基準に評価されている。欧米語(欧米文化)の美点と欠点の両面を認識した上で取り入れれば役に立つ本である。

白水社、平成15年(2003)10月

英語の再勉強法〜信じられないほど、速く確実に身につく

晴山陽一

中学英語を文法学的に学び直して、英語の基礎をしっかり固め、その基礎をもとに応用に使えるように書かれた英語再入門の本。動詞中心の英語の言語的特性から説き起こし、英文法の基本を一通り学んで、応用編として10のフレーズを使った英会話表現を教授する。語彙は必要だが、文法的には中学英語レベルで基本的には用が足りることがよくわかる。英文法を苦手とする人にお薦め。

KAWADE夢新書、平成15年(2003)9月

係助詞と係結びの本質

半藤英明

歴史的に一貫して機能を保っている係助詞と古典語の段階で消滅した係結びについて、両者の基本機能「取り立て」を本質として捉え、係助詞と係結びの歴史を跡付けた本。係助詞の中で、強調構文の役割を担うものは係結びが形成されたのに対して(従って役割を終えると消滅した)、同じ係助詞でもハ・モは日本語の基本構造の一つである主題構文に関わるという役割ゆえに係結び構文にならなかったと結論付ける。

新典社、平成15年(2003)9月

三尾砂著作集2

三尾砂

著作集第2巻は昭和33年に法政大学出版局から刊行された『話しことばの文法 改訂版』を収める。書きことばの口語ではなく、話しことばの口語の文法を、主に「だ体」「です体」など文法上の文体の観点から体系化している。歴史的由来よりあくまで現在の形を優先しているため、外国人向け日本語文法に近いものになっている。「女ことば」に一章が割かれている。

ひつじ書房、平成15年(2003)7月

仮名文の構文原理 増補版

小松英雄

仮名文は書記様式と構文が密接な関係にあるとし、平安後期の古注のバイアスのかかっていない仮名文創成期の表現意図に基づいて、和歌や和文を解釈し直そうとする試み。和歌を継承し発展させた仮名文を、句節を次々と継ぎ足して構成され、各句節間の相互関係は付かず離れずの緩やかなものである「連接構文」と定義し、その特性を踏まえつつ、表現意図や文脈から読む和歌の解釈を行なっている。

笠間書院、平成15年(2003)6月

日本語音声学のしくみ

猪塚元・猪塚恵美子

「日本語のしくみを探る」第2巻。初心者向けテキストの次の一冊として薦められるもので、(このシリーズの特徴である)著者の思考過程が見え、未解明の部分やすっきりとは割り切れない部分が権威ぶらずに提示される美質が本書にも現れている。音声学は文科系の人には敬遠されがちだが、本書は楽しく読むことができ、日本語教師は言うまでもなく外国語学習者にも有効に使える一冊である。

研究社、平成15年(2003)5月

改訂 音声学入門

小泉保

大学生向けの音声学の基礎的なテキスト。平成8年に出たものの改訂版。世界各国の様々な言語を素材にして、調音音声学・聴覚音声学・音響音声学の理論をなるべくわかりやすく解説している。調音音声学が中心だが、声調・音調・音節・強勢などにも説き及び、聴覚音声学の関連として音韻論に一章を割いて解説し、科学的に音波を研究する音響音声学にも一章を割いている。各章末尾に練習問題を付す。

大学書林、平成15年(2003)4月

三尾砂著作集1

三尾砂

国文法とは異なる新しい日本語文法を確立しようとした三尾砂の著作集第1巻。昭和23年に三省堂から刊行された『国語法文章論』及び8編の論文を収める。国文法の通時論的文法ではなく、共時論的アプローチを取っているのだが、文法論が音韻論的抽象を超えて発音に引っ張られてしまっているところがある。『国語法文章論』では日本語を現象文・判断文・未展開文・分節文の類型に分けている。

ひつじ書房、平成15年(2003)4月

ことばを鍛えるイギリスの学校

山本麻子

一人前の人間の条件として言語能力を重視し、明確な自己主張はもとより会話や討論における礼儀正しさまでを含んだ高度な言語技術を持てるように幼い頃から子供に徹底してことばを教え込むイギリスの国語(英語)教育の現状を報告した本。国語をしっかりと教えようというイギリス教育界の動向を紹介しながら、浅薄な外国語教育よりも、あらゆる学びの基礎としての母語能力を高めることの大切さを説いている。

岩波書店、平成15年(2003)4月

日本語基礎講座〜三上文法入門

山崎紀美子

日本語学界において独立独歩の存在であった三上章が作り上げた三上文法を、英語・ロシア語と比較しながら概説した入門書。助詞のはたらきや動詞のテンス・アスペクトのはたらきなどを中心に、三上文法のエッセンスが覚書的な文体で詰め込まれている。日本語の論理を明快に解説するとともに、日本語にはない主語を無理に作為して教えるなどの間違いを犯している矛盾に満ちた学校文法を批判している。

ちくま新書、平成15年(2003)4月

『象は鼻が長い』入門〜日本語学の父三上章

庵功雄

三上章をリアルタイムで知らない世代による三上文法入門。日本語に即した文法を目指した三上の用語と理論、主語廃止論・陳述度などを読み解く。在野から興ったとも言える日本語学が、大学に地位を占めて自明のものとなり、高度化・国際化した反面、かつての総合力と魅力を失い、細分化して一種の停滞期を迎えているという認識のもと、三上の業績を振り返ることで今後の方向性を見出そうとしている。

くろしお出版、平成15年(2003)4月

日本語の誕生〜古代の文字と表記

沖森卓也

漢字伝来から和文が公式的に確立した古今和歌集までの表記を辿りながら、日本語表記の成立過程を考察した本。正格漢文から変体漢文を経て、漢字を使って日本語を表記する漢字万葉仮名交じり文の誕生、さらに漢字ではない表音文字としての仮名が成立するまでを跡付ける。訓読をはじめとする漢文の和文化の媒介者として朝鮮半島の渡来人の存在があったことを指摘している。一般向けとしてはかなり高度な内容。

吉川弘文館、平成15年(2003)4月

在日ブラジル人の教育と保育

小内透編著

日系ブラジル人の集住地である群馬県の太田市と大泉町における在日ブラジル人の教育・保育の現状と課題を調査研究した本。ホスト社会の日本人を含めて、児童・父兄・教師など関係する様々な人々のインタビューをもとに分析し、当事者の願望・希望・不安などを明らかにしている。結果的には極めて常識的に納得できる人々の思いが現われているが、在日外国人に対する対応や処遇の難しさも浮き彫りにしている。

明石書店、平成15年(2003)3月

日本語は年速一キロで動く

井上史雄

近現代の日本語には共通語化一辺倒ではなく新たに方言が形成される現象があり、この新方言の形成と伝播の動態を研究した本。新方言は一過性の現象ではなく、その形成過程は過去の言語変化の法則に合致したものであり、リアルタイムに観察可能な新しい文法形成の場でもあることを明らかにしている。新方言学の方法論を提示し、学問としての確立を宣言するマニフェストとも言える一冊。

講談社現代新書、平成15年(2003)3月

日本語文法の謎を解く

金谷武洋

前著『日本語に主語はいらない』ではスーパー助詞「は」が主題となっていたが、本書はスーパー動詞「ある」の分析を通して日本語文法を論じている。「ある」中心すなわち存在中心・自然中心・空間中心の日本語と、「する」中心すなわち行為中心・人間中心の英語を比較考察し、日本語における主語不在と「ある」の優位が人間をも自然の一部と見做す日本人の世界観そのものであることを解明している。

ちくま新書、平成15年(2003)1月

英文法をこわす〜感覚による再構築

大西泰斗

規則や用法の機械的暗記による学校英文法をこわし、生き生きとしたネイティブの感覚による英語理解を説く大西メソッドをコンパクトにまとめた本。英語表現の根本には感覚があり、イメージで文法を構成することでいかに文法を簡素化し効率化することができるかを、基本動詞・前置詞・時制・定不定冠詞など日本人学習者が躓くポイントを例に解説している。感覚による外国語学習法は日本語教師にも参考になる。

日本放送出版協会、平成15年(2003)1月

漢字と中国人〜文化史をよみとく

大島正二

漢字の起源から簡体字までの歴史を辿る。漢字には形・音・義という三要素があるが、中国人は形に漢字の実体を求め、訓詁学的な態度で以て漢字に取り組んできた。『爾雅』などの義書、『説文解字』などの字書、『切韻』『韻鏡』などの韻書・韻図などの漢字研究の歴史を辿りながら、形に実体を求める発想から近代化のためにローマ字化を試み、しかしやはり漢字を残して簡体字に至るまでの歴史を跡付けている。

岩波新書、平成15年(2003)1月

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